​Culbiz

20年近く前、開業した鍼灸整骨院を手伝っていた時のことです。

今でこそ、病院等、医療現場も明るいイメージになってきましたが、
当時は、清潔なイメージを保つために、固く、冷たく、どこか居心地の悪さを
感じる医療施設がほとんどでした。

例にもれず、整骨院専門業者に依頼をして内装をしたので、出来上がりは
想像のままでした。可もなく、不可もないごくごくよくある整骨院。


でも、なんか違う!
私が患者なら、診察待ってる間、退屈やし、緊張するなぁ…

と思ったんです。

そうです! 　
この整骨院に最大の価値を期待してくださるのは誰でもない患者さん。
それは、何も先生の技術だけではないと思ったのです。

自分が病院を利用する時に感じるコト。

受付が明るくて、いつまで待っても苦痛にならない空間。
優しく話しかけやすい受付の女性。

「治療」という独特の怖さを感じる時も、目に入る花やインテリアで
ふと緩む体のチカラ…


そんな様々な情景を思い浮かべたら、これでは不足だと思いました。


そして「私なら…こうしてほしい!」というものが一気にあふれ出しました!

とにかく独身時代から部屋を飾るのは大好きだったので、
患者さんの導線を軸に、目がいく場所ごとにオリジナルのインテリアを

作って飾り、窓のない高い壁には、窓に見立てた増加と風景画をコラボさせて
広く見せたり…と工夫できることはすべてやりました。

当時の患者さんのおばあちゃんがよく言ってくれたのは、

「私ら、年寄りは、視野がだんだん狭くなって、まわりが暗く見えてくるの。
だから、明るくてパッとした花や、目印になるインテリアがあると、
助かるし、心も幸せになるわぁ」

「年寄り夫婦の暗い家から、ここにきて現実離れできるのが楽しみなの」
と笑いながら微笑んでくれました。

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ある時、常連患者のおばあちゃんが、治療終わって帰る時に、
いつもは躓かないのに、ベッドの足の角でつま先をうってしまったんです。


想像しただけでもイタイじゃないですか?
すぐ冷やして処置をさせてもらいましたが、その時に思いついたのは、
木製医療ベッドの足に履かせる足カバーです。

15センチの角材に履かせる足カバーは、きっと他のお年寄りにも危険回避になります。

でも、下手をすれば、ダサくなるし、患者様は高齢者だけじゃないのです。
おばあちゃんにわかりやすくて喜ぶ柄に合わせたりすると、とたんにイメージダウンになります。


その場を共有する人たちのイメージを想像しながら、生地選び1つも慎重にします。
結果、イメージは若い人にも受け入れられて、高齢者にもカラーサインになり、機能的にも、実際足が当たっても痛くない足カバーが完成しました。


翌日に来た時、それを見たおばあちゃんの顔は、今でも忘れられません。
まじまじとそれを見ながら、
「本当にありがとう。こんなことまでしてくれるところは今までなかった」

と、優しく言葉をかけてくれました。
自分の作ったものが誰かに活かされ、「感謝されること」の喜びとして、
また自分に返ってくる。

それが、どんなに自分の心を幸せにするかわかった瞬間でした。



それが、ホームデコの原点と言っていいと思います。

そこに居る人、そこに訪れる人に役に立つこと。
居心地よく時間を忘れてしまうような空間にすること。
住む人同志の共感を得られる工夫が活かされていること。

これがホームデコの誕生ストーリーです♡